お香原料「甘松」と聖書の植物と、ワンコの肉球。
お香調合に用いる香原料、甘松。
甘い松と書いて「かんしょう」と読みます。
マツではありません。
オミナエシ科(APG体系ではスイカズラ科)の植物で
ヒマラヤ山系、中国山岳地帯原産の植物。
根や根茎を使います。
これは刻み状のもの。
お香の調合にはとても大切な香原料のひとつ。
匂い袋はもちろん、
練香や塗香、線香など
配合比は様々ですがなくてはならない香原料です。
そしてこの甘松はアロマテラピーの精油では
「スパイクナード」のこと。
聖書に登場するナルドの香油としてもとても有名な植物です。
マグダラのアリアがイエスの足にナルドの香油を塗り
自分の髪でぬぐうのに使ったことで知られています。
聖書のなかに登場しているということは
ヨーロッパにおいては古くから知られた植物。
日本においても古くから使われています。
主原料にはなりませんが
その独特な香りは何とも病みつきになる香り。
ものすごく嫌う方もありますが
「なんかクセになるわ~」といって
クンクンする方も多い原料。
もちろん精油もいい匂いではありませんが
やはりクセになる香りです。
精神・神経系に働きかける精油として
芳香を目的として使用します。
(でも、価格はそんなに安くないです)
この香りをどう表現するか?
植物の匂い、というより動物のニオイを連想させます。
そう、ワンコの肉球のニオイ。
嗅いだことあります?
ワンコでなくても猫ちゃんとか。
あとは…
え~っと、そうですね、
ずっと、ずっと使ってて、
何年も洗ってないタオルケットのニオイ、
なんてどうでしょう(^^;)
何となく想像できるのではないでしょうか。
最初は使うのちょっとためらうのですが
お香調合を学んでいると
この「甘松」をかっつり使うようになってきて、
更にはそれでは物足りなくなり…
その結果たどり着く香原料が、
こちら!
こちらは「吉草香」と申します。
読み方は「きっそうこう」ですね。
こちらのニオイは
それはそれは強烈な酸味の強いニオイ
というか臭いです、ハッキリ言って。
う~ん、のニオイに近いかも。
化学に詳しい方ならば
この香原料の名前を聞いて
「そうだよな~クサいよね~」と思えるというもの。
そう、カルボン酸のひとつである「吉草酸」だもんね~と
納得していただけるのではと思います。
こちらの香原料も
アロマテラピーの精油として存在しており、
「バレリアン」と申します。
和名は「セイヨウカノコソウ」
やはりオミナエシ科(APG体系ではスイカズラ科)の植物です。
そのニオイは香原料の吉草よりもとてもマイルド。
精油の芳香成分類はエステル類が多いですからね。
こちらもスパイクナード同様
精神・神経系に働きかける優れた精油のひとつ。
ただしこちらの精油も価格そんなに安くないですから
どうしても必要なの時の
これじゃないとという精油、ということになりますよね。
お香原料にしても、精油にしても、
とても大切な芳香植物のお話しでした。