香原料「龍脳」と書道とカビと、精油の香り。
2020年03月10日
お香の調合っていっても
いったい何をするのかわかんないと思いますが、
ただ香原料を混ぜればいいというわけではないんです。
いろんなお香原料の香りをしっかり覚えることは必須。
香製品の配合の勉強はもちろん、
それだけではなく、
仏教と香の関係やその歴史、
文学との関わりなど、
いろんなこと覚えたり、経験したり。
それでもまだまだ不十分なわけで。
全国でも数十名しかいない
「薫物屋香楽認定教授香司」をしておりますが、
日々修行は続きます。
匂い袋の調合で必須なお香原料のひとつ、
この白い結晶のようなもの、「龍脳」といいます。
皆さま必ず「樟脳でしょ!」っておっしゃいます。
見た目一緒ですからね~
これ、龍脳。
これは樟脳。
う~ん、一緒ですもんね。
龍脳だけの香り確認していただくとわかんないですが、
樟脳もお渡しすると皆さま「あっ、違う」となります。
樟脳はクスノキの葉や枝などから採れる昇華性の結晶。
(しかし天然のものはとても希少であり、
いまは化学合成されたものを使っています。)
龍脳とは東南アジアのボルネオなどにのみ生育する
フタバガキ科の龍脳樹に含まれている二環式モノテルペン。
ボルネオールですね。
ちなみに樟脳はケトン類のカンファーです。
両者比較すると、
龍脳は比較的優しい香り
樟脳はつーんととがった香り、となるでしょうか。
この香りの違いは
アルコールとケトンの違いからくるもの。
アロマテラピーの精油だと
ボルネオールは
イヌラ、タイム・サツレオイデス、
ローズマリー・ベルベノンにも含まれる芳香成分。
カンファーはクスノキはもちろん、
ローズマリー・カンファー、ラベンダー・スピカなどにも
含まれている芳香成分。
どちらも医薬品原料としても使われている芳香成分です。
さて、匂い袋の調合に欠かさないこの「龍脳」ですが、
龍脳樹自体が絶滅危惧種になっており
そのため天然の龍脳はなかなか入手するのが困難な状況です。
ちなみにこれが純天然龍脳。
現在は分子構造がよく似ている樟脳から精製したものを
龍脳として用いています。
「じや~そんな貴重な香り、
知らないですよね、龍脳なんて香りは」
ここまで読まれてそう思った人は多いと思いますが、
じつは身近なところで使われています。
書道されてる方はこの香りをご存知なんです。
じつは書道に使う「墨」に使われています。
墨を作るときに使用する「膠」のニオイを消すため
使用されています。
お香調合の勉強を始めた頃、
どうしてもこの「龍脳」の香りは好きになれませんでした。
何か「クサい!」と感じてしまうのです。
なんだか知ってるけど、
生理的に受け付けないなんとも言えない不快なニオイ。
なんでだろ?
ず~っとそう思ってきました。
なんのニオイなのか?
それはですね…
カビのニオイのひとつとして知られているにおい成分
2メチルイソボルネオールに構造がよく似てるんですよね。
私には「墨」の香りというよりも
カビの臭いとしか認知できなかったわけです。
今では龍脳の香りはとても大好きな香りのひとつですけどね。
そうそう、
この龍脳は玄宗皇帝が楊貴妃に贈ったとされる香料のひとつで、
楊貴妃が亡くなるまで身につけていた香りとしても有名であり、
奈良県にあるマルコ山古墳から出土した遺骨から
龍脳の香りが検出されたことでも有名であり、
これらの話しはお香を司るものであれば
基本的知識として知っておくべき知識のひとつなのです。
お香調合は簡単なものから本格的なものまで
いろいろ体験いただけます。
ご興味おありの方は、ぜひ。
いったい何をするのかわかんないと思いますが、
ただ香原料を混ぜればいいというわけではないんです。
いろんなお香原料の香りをしっかり覚えることは必須。
香製品の配合の勉強はもちろん、
それだけではなく、
仏教と香の関係やその歴史、
文学との関わりなど、
いろんなこと覚えたり、経験したり。
それでもまだまだ不十分なわけで。
全国でも数十名しかいない
「薫物屋香楽認定教授香司」をしておりますが、
日々修行は続きます。
匂い袋の調合で必須なお香原料のひとつ、
この白い結晶のようなもの、「龍脳」といいます。
皆さま必ず「樟脳でしょ!」っておっしゃいます。
見た目一緒ですからね~
これ、龍脳。
これは樟脳。
う~ん、一緒ですもんね。
龍脳だけの香り確認していただくとわかんないですが、
樟脳もお渡しすると皆さま「あっ、違う」となります。
樟脳はクスノキの葉や枝などから採れる昇華性の結晶。
(しかし天然のものはとても希少であり、
いまは化学合成されたものを使っています。)
龍脳とは東南アジアのボルネオなどにのみ生育する
フタバガキ科の龍脳樹に含まれている二環式モノテルペン。
ボルネオールですね。
ちなみに樟脳はケトン類のカンファーです。
両者比較すると、
龍脳は比較的優しい香り
樟脳はつーんととがった香り、となるでしょうか。
この香りの違いは
アルコールとケトンの違いからくるもの。
アロマテラピーの精油だと
ボルネオールは
イヌラ、タイム・サツレオイデス、
ローズマリー・ベルベノンにも含まれる芳香成分。
カンファーはクスノキはもちろん、
ローズマリー・カンファー、ラベンダー・スピカなどにも
含まれている芳香成分。
どちらも医薬品原料としても使われている芳香成分です。
さて、匂い袋の調合に欠かさないこの「龍脳」ですが、
龍脳樹自体が絶滅危惧種になっており
そのため天然の龍脳はなかなか入手するのが困難な状況です。
ちなみにこれが純天然龍脳。
現在は分子構造がよく似ている樟脳から精製したものを
龍脳として用いています。
「じや~そんな貴重な香り、
知らないですよね、龍脳なんて香りは」
ここまで読まれてそう思った人は多いと思いますが、
じつは身近なところで使われています。
書道されてる方はこの香りをご存知なんです。
じつは書道に使う「墨」に使われています。
墨を作るときに使用する「膠」のニオイを消すため
使用されています。
お香調合の勉強を始めた頃、
どうしてもこの「龍脳」の香りは好きになれませんでした。
何か「クサい!」と感じてしまうのです。
なんだか知ってるけど、
生理的に受け付けないなんとも言えない不快なニオイ。
なんでだろ?
ず~っとそう思ってきました。
なんのニオイなのか?
それはですね…
カビのニオイのひとつとして知られているにおい成分
2メチルイソボルネオールに構造がよく似てるんですよね。
私には「墨」の香りというよりも
カビの臭いとしか認知できなかったわけです。
今では龍脳の香りはとても大好きな香りのひとつですけどね。
そうそう、
この龍脳は玄宗皇帝が楊貴妃に贈ったとされる香料のひとつで、
楊貴妃が亡くなるまで身につけていた香りとしても有名であり、
奈良県にあるマルコ山古墳から出土した遺骨から
龍脳の香りが検出されたことでも有名であり、
これらの話しはお香を司るものであれば
基本的知識として知っておくべき知識のひとつなのです。
お香調合は簡単なものから本格的なものまで
いろいろ体験いただけます。
ご興味おありの方は、ぜひ。
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煎茶に合うのは和菓子だけなの?って話し。
10月~11月の水引講座、いろんなものができました。
10月~11月の水引講座、いろんなものはできました。
『日本の文化を学ぶ 屠蘇延命散作り講座』始まってるんです。
日本茶インストラクター協会推奨の急須。
メディカルハーブの基本を学ぶということ。
10月~11月の水引講座、いろんなものができました。
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『日本の文化を学ぶ 屠蘇延命散作り講座』始まってるんです。
日本茶インストラクター協会推奨の急須。
メディカルハーブの基本を学ぶということ。
この記事へのコメント
初めての世界です。宜しくお願いします。
龍脳菊の匂いとは違うものでしょうか?
龍脳菊の匂いとは違うものでしょうか?
Posted by 小林 茂 at 2020年03月10日 21:53
小林さま、はじめまして。
龍脳菊(Chrysanthemum japonicum syn. Chrysanthemum makinoi)は、その香りが龍脳とよく似てることで付いた和名とされています。
含まれる芳香成分としてはボルネオールも含まれていますが、その他にカンフェン、カンファーといったケトン類も確認されているようです。
実際に龍脳菊のニオイを嗅いだことありますが、香原料の龍脳とは明らかに異なるものです。それに香りも弱いですよね。
龍脳は日本に輸入されてきた当初よりとても希少で、高価な香原料です。
もともと一般人が扱えるものではなかったことを考えると、龍脳の匂いを知ってて和名を付けたとは思えませんね~、たぶん。
龍脳菊(Chrysanthemum japonicum syn. Chrysanthemum makinoi)は、その香りが龍脳とよく似てることで付いた和名とされています。
含まれる芳香成分としてはボルネオールも含まれていますが、その他にカンフェン、カンファーといったケトン類も確認されているようです。
実際に龍脳菊のニオイを嗅いだことありますが、香原料の龍脳とは明らかに異なるものです。それに香りも弱いですよね。
龍脳は日本に輸入されてきた当初よりとても希少で、高価な香原料です。
もともと一般人が扱えるものではなかったことを考えると、龍脳の匂いを知ってて和名を付けたとは思えませんね~、たぶん。
Posted by 茶香房ひより at 2020年03月14日 18:19
はじめまして、お茶の勉強をはじめました入門者です。
龍脳、樟脳の違いもわからないし古代の龍脳で着香したお茶なんて美味しいのかとても疑問に思っていましたところこのブログに辿りつきました。
しかもお茶工房の方!
このブログを読んで龍脳茶が王様に献上されていたのは姫様の為だったのかなと思ったり。
いつか龍脳を嗅いでみたいと思っています。
龍脳、あまりいいにおいに思えませんが龍脳入りお茶飲んだことはありますか?
龍脳、樟脳の違いもわからないし古代の龍脳で着香したお茶なんて美味しいのかとても疑問に思っていましたところこのブログに辿りつきました。
しかもお茶工房の方!
このブログを読んで龍脳茶が王様に献上されていたのは姫様の為だったのかなと思ったり。
いつか龍脳を嗅いでみたいと思っています。
龍脳、あまりいいにおいに思えませんが龍脳入りお茶飲んだことはありますか?
Posted by non at 2022年08月23日 13:32
nonさま はじめまして。
お香調合を専門とする「香司」、そして日本茶インストラクターですが、
「龍脳で着香したお茶」という話しは、
どちらの分野でも耳にしたことがありません。
龍脳の香りの逸話として楊貴妃が愛用したことが有名ですが、
そもそも嗜好品として口にするものではないと考えます。
まぁ~医薬品原料として使用されていますが…
何か書籍に書かれているのでしょうか?
ちなみに龍脳の香りですが、
本文にも書きましたが、いわゆる「墨」の香りです。
純天然龍脳となるとそれとはまた少し異なる香りです。
これは貴重なものなので、そんなに出回るものではないですがね。
お香調合を専門とする「香司」、そして日本茶インストラクターですが、
「龍脳で着香したお茶」という話しは、
どちらの分野でも耳にしたことがありません。
龍脳の香りの逸話として楊貴妃が愛用したことが有名ですが、
そもそも嗜好品として口にするものではないと考えます。
まぁ~医薬品原料として使用されていますが…
何か書籍に書かれているのでしょうか?
ちなみに龍脳の香りですが、
本文にも書きましたが、いわゆる「墨」の香りです。
純天然龍脳となるとそれとはまた少し異なる香りです。
これは貴重なものなので、そんなに出回るものではないですがね。
Posted by 茶香房ひより at 2022年08月23日 17:04
コメントのお返事ありがとうございました!
はい、本で読みました。
私は紅茶から入ったのですがルーツをたどって中国、日本、ヨーロッパへと。
その中で中国のフレーバーティー?としてのっていました。
はい、本で読みました。
私は紅茶から入ったのですがルーツをたどって中国、日本、ヨーロッパへと。
その中で中国のフレーバーティー?としてのっていました。
Posted by non at 2022年08月23日 20:03
こんにちわ。
龍脳はその特性として液体を経由せずに
固体から気体になる昇華性の物質ですし、
食品添加物という観点から考えても、
「龍脳茶」というのがあったとしても
歴史上のものと考えたほうが良いと思います。
このような返答になりすみませんm(__)m
龍脳はその特性として液体を経由せずに
固体から気体になる昇華性の物質ですし、
食品添加物という観点から考えても、
「龍脳茶」というのがあったとしても
歴史上のものと考えたほうが良いと思います。
このような返答になりすみませんm(__)m
Posted by 茶香房ひより at 2022年08月24日 11:33